前山港の香港式茶餐廳

香洲区の前山地域と南屏地域を隔てる前山河。かつては珠海と内陸部を繋ぐ水運の一翼を担っており、数十年前には河口付近の前山港から桂林まで、船旅を楽しむこともできたと言う。そんな交通の要衝だった前山港も、南屏地域の急速な開発、河岸の整備事業に伴いその役割を終え、今はその小ぶりな建物に昔日の面影を残すのみである。今回は、そんな前山港に居を構えるユニークな茶餐廳をご紹介する。

漁記茶餐廳 (前山支店) は、珠海人の手による本格的香港式茶餐廳。本店の開業は 2017 年と比較的最近だが、この前山支店も週末は長蛇の列が店外にまで並ぶ人気店だ。ここが珠海の一般的な茶餐廳と一線を画すのは、徹底した香港の茶餐廳の再現にある。香港人のソウルフード、菠蘿包 (パイナップルパン) と奶茶 (ミルクティー) の開発に文字通り心血を注ぎ、メニュー、内装ともに香港の茶餐廳をほぼ完璧に再現している。いかにも香港の店舗にありそうな小物が随所に配置され、壁のタイルの貼り方にも本場再現の強い意気込みとこだわりが感じられる。

 

当然ながら、どの料理も味は折り紙つき。写真は、香港映画の最高傑作「男たちの挽歌 (英雄本色)」冒頭、チョウ・ユンファが皇后像広場で食べていた混酱豬腸粉。こんなシンプルな一皿もしっかり美味しい。

【渔记茶餐厅 (前山店)】
珠海市香洲区港昌路港口一巷201号主体第3、4、5、6间 (前山河边)
営業日時: 月〜日 11:00 – 20:00
拱北、唐家湾などにも店舗有り