香港フィルのラフマニノフ

香港フィルハーモニー管弦楽団 (Hong Kong Philharmonic Orchestra, 略称: HKPO / HKPhil) の定期演奏会についてご報告する。2023 年 5 月のラフマニノフ・プログラムだが、当「日本人生活情報」は音楽評論専門と言うわけでもないし、速報性は必要ないだろう。メインは、ソリストに上海のチャン・ハオチェンを迎えてのピアノ協奏曲第 3 番。日本での知名度は今ひとつだが、あの辻井伸行と同時にヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した技巧派。前半はラフマニノフの白鳥の歌、「交響的舞曲」と言うなかなか渋いプログラムだった。

 

2012 年に Jaap van Zweden が音楽監督に就任してから、たしかに香港フィルの音は変わり始めた。香港的にアバウトなアンサンブルや、不用意な ff の暴発が当たり前だった 2000 年代までの同オーケストラとは隔世の感が有る。それでなくても本拠地の香港文化中心のホールは、やや小ぶりでオーケストラの音が常に飽和気味なのだが、弦楽器群に規律がもたらされたことで、金管楽器の咆哮がオーケストラを塗りつぶすような場面はかなり減った。

交響的舞曲は、”Time is money” の街、香港に相応しい超快速テンポ。世界各地から集められた木管楽器の名手たちが、細かいパッセージに必死に食らいつく様は、サーカス的な意味で見ものではあった。協奏曲でも一貫して速めのテンポが維持され、ソリストの絢爛たるヴィルトゥオジティがいやが応にも開陳されていく。ロマン派ピアノ協奏曲の極北に位置する「ラフ3」を、最後のオクターヴ下降音形の速さだけで評価してはいけない。それでは作曲家の遺したスコアが、ポルノに堕してしまう。とまれ、トップスピードでコーダに突入した演奏は、聴衆を興奮の渦に巻き込み、会場はブラボーの嵐に包まれた。

体力が有り余っているゲルマン民族のオーケストラと比べ、香港フィルの演奏会は実質演奏時間がかなり短めに設定されている。このあたりも、いかにもコスパ重視の香港らしい。終演後、尖東のバス停までダッシュして A21 のバスに乗れば、香港珠海マカオ大橋経由で、その日のうちに珠海ないしマカオまで戻れるのも、なかなか粋な計らいだ。

なお、珠海市内から香港への移動については、当ウェブサイト内の「珠海から香港へバスで」を参照していただきたい。 https://zhuhai.jp/bushkg.html

香港大学に行ってみよう (学術編)

アジア屈指の象牙の塔に潜入して、濃い顔のインド人見ながら、インド飯食べるだけなら、やってることが重慶マンションと同じじゃないか!と、お嘆きのあなた。今回は、そんな意識高いあなたも納得の、大学内知的スポットをご案内する。

 

まずは地質博物館。香港を訪れた日本人は「こんな野放図に高層ビル建てちゃって、香港って地震無いの?」と言う問いを必ず一度は口にする。その答えを知りたければ、ぜひこちらに!香港に地震は無くはないし、ビルもまあまあ安全なんだよ。と、学術的な解説がされている。他にも、ちょっとした子供くらいの大きさのアンモナイトの化石など、入場無料の割に見所豊富だ。ただし、大学内の施設ゆえ開館時間が平日午後のみなので注意。

 

次は、既述のビジターセンターの隣りにある、これも古くて可愛らしい建築物を利用した香港大学出版社書店。観光客で溢れるビジターセンターと違い、入店するのもちょっと敷居が高い感じだが、いかにも大学の書店と言う懐かしい雰囲気なので、怖気付かずに入店してみて欲しい。香港について興味のある方なら、香港大学出版社の質の高い刊行物の数々は、よいお土産になるはずだ。

 

なお、珠海市内から香港への移動については、当ウェブサイト内の「珠海から香港へバスで」を参照していただきたい。 https://zhuhai.jp/bushkg.html

【The University of Hong Kong】
Pok Fu Lam, Hong Kong, Hong Kong SAR

香港大学に行ってみよう (観光編)


香港大学 (The University of Hong Kong, 略称 HKU)。孫文の母校でもある香港医科大学を前身とし、1911 年に創立された香港最古の超名門大学。2023 年版の大学世界ランキングでも、東京大学を上回る 21 位と非常に高い評価を得ている (QS World University Rankings 2023)。法学部、経済学部、医学部、建築学部など合計 10 の学部を擁する総合大学だが、とくに歯学部は三年連続 (2016 – 2018 年) で歯学分野の大学ランキング世界 1 位の栄冠に輝くなど、圧倒的な知名度と実力を誇っている。

今回は、そんな歴史ある香港大学に旅行者として堂々と潜入してみよう。香港島西部の山中に位置する香港大学のメインキャンパスは、かつて陸の孤島と揶揄されるほど不便な立地だったが、MTR の延伸に伴いアクセスが劇的に改善された。香港島を東西に走る青色の港島線で堅尼地城 (ケネディ・タウン) 方面に向かい、「香港大学」駅で下車すればそこはもう大学のキャンパス内だ。

高低差が激しく、さして広いとも言えない香港大学のメイン・キャンパス内には所狭しとビルが乱立しているが、まずは歴史的建造物の Main Building を目指そう。1912 年に建造された、香港大学のランドマークとも言える建物だ。バロック調の、しかしどことなくコロニアルで瀟洒な建物は多くの観光客の撮影スポットとなり、時にはウェディング写真を撮影する御一行も。卒業シーズンには、アカデミックガウンに身を包んで記念写真を撮る卒業生たちの姿も見ることができる。

 

床のモザイクが美しい内廊下や、静謐な内庭などは部外者でも見学可能なので、香港の雑踏と隔絶された、ゆったりとした時の流れを楽しんで欲しい。

 

キャンパス内を更に西に向かって進むと、古い建物を改装したビジターセンターがある。ここでは、アパレル、キーホルダー、文房具などありがちな大学オリジナルグッズを購入することができる。HKU のロゴ入りパーカーを着れば、あなたも立派な HKUer (港大生) だ!

なお、珠海市内から香港への移動については、当ウェブサイト内の「珠海から香港へバスで」を参照していただきたい。 https://zhuhai.jp/bushkg.html

【The University of Hong Kong】
Pok Fu Lam, Hong Kong, Hong Kong SAR