珠海から香港空港へのアクセス改善

2023 年 12 月 12 日より、 港珠澳大橋の珠海側ターミナルから直接、香港空港行きの直通バスが開通した。これにより、珠海のバスターミナルで出国したのち、香港に一旦入境することなく、直接香港空港の制限区域に入ることができる。また、以前、レポートしたマカオ側バスターミナル同様、珠海側でのフライト・チェックインも可能になる模様。

このサービスに対応するエアラインなど、詳細は以下の香港国際空港公式 HP よりご確認いただきたい。

https://www.hongkongairport.com/en/transport/mainland-connection/airline-check-in-at-prd-and-macao.page#2

蔡瀾港式点心

蔡瀾 (つぉい らん) という怪しいオッサンを覚えているだろうか?けっこうまともな日本語を操り、一時は日本のテレビ番組にも頻繁に出演していた。かの「料理の鉄人」では、香港のシェフを引き連れて、フカヒレやハタで鉄人に対決を挑んだこともある。「ヤッパネ、アブラ、ラードツカワナカッタノガ。。。」と、鉄人にも臆さず料理にケチをつける毒舌美食家なのだが、じつは本業は映画のプロデューサーだったりする謎のオッサンだ。当然、飲食業にも手を出し、ジャッキー・チェンが「毎日、ぬ (飲) んでいます 」と日本語で話す CM で、日本の香港映画ファンを沸かせた暴暴茶も、このオッサンのプロデュースによるもの。

 

そんな蔡瀾が最近プロデュースして、着々と店舗数を増やしているのが「蔡瀾港式点心」だ。店頭には等身大の蔡瀾像を配し、しっかりとアピールしてるあたり、いかにも香港人っぽい (ご本人は、シンガポール生まれのマカオ籍)。昔ながらの飲茶レストランは、一族郎党が集まって点心を楽しむための場所なので、それぞれの円卓がやたらと大きくて、少人数では使いにくい。繁忙期の週末の朝などは、知らないおじいちゃんたちとの相席が当たり前だ。それはそれで風情があって面白いのだけれども、「少人数で気軽に香港式の点心を楽しんでくださいね」と言うのが本店のコンセプト。テーブルの配置など、明らかに普通のレストランに近い。

 

したがって、料理の方も若者たちの SNS 映えを十分に意識したものとなっている。香港一の美食家が関わっているので、けっして不味いわけではなく、味も見た目もとりあえず小綺麗にまとまっている。それは広東の若者だって、どうせならオシャレなモノを食べて、SNS で思いっきり自慢したい。しかし、なんとなくスナック菓子の延長のような点心、と感じてしまうのは、ひねくれた日本人のオッサンだけだろうか。。。

 

【蔡澜港式点心 (岭南站NOVA店)】
佛山市禅城区祖庙路 29 号 
岭南站 LG1 东门
営業日時: 月〜日 10:00 – 22:00

その他、広東各地に店舗有り

港珠澳大橋: 香港空港の利用がスムーズに

香港とマカオ、珠海をつなぐ港珠澳大橋では、マカオから香港国際空港に直接バスで乗り入れることができる。とは言うものの、香港空港で下車したのちに、香港に一旦入境してから、チェックイン・カウンターでの搭乗手続きが必要で、今ひとつ使い勝手が悪かった。このたび、香港空港行き直通バスの利用について、マカオ側バスターミナルでのフライト・チェックイン、荷物の預け入れ、香港空港制限区域への出境手続き、などのサービスを近く開始するとのアナウンスがあった。これにより、マカオから香港空港を利用する際に、大幅な利便性の向上と時間短縮が見込まれる。

 

当面は、午前 7 時半から午後 7 時半までの限られた時間帯での運行になるが、将来的には便数も増やし、24 時間化する意向のようだ。運賃は片道 280 香港ドルで、マカオ側ターミナルと香港空港を約 45 分で繋ぐ。

 

かつては、行程最終日に出発ギリギリまでマカオ市内で英気を養ってから、マカオのフェリーターミナルで香港発のフライトにチェックインし、そのまま空港への船旅、というルートが一般的だった。しかし、港珠澳大橋の開通により、この香港空港行きの船便は 1 日あたり 1 便程度にまで減便されている。一方、「珠海日本人生活情報」では、港珠澳大橋マカオ側ターミナルで香港空港のチェックイン設備の準備が進んでいるとの極秘情報を得て、遠からずこのような効率化の措置がとられるものと予測を立てていたが、今回、みごとに的中した。写真は、2023 年 7 月に日本人特派員により、マカオ側ターミナルにて撮影されたもの。

香港フィルのラフマニノフ

香港フィルハーモニー管弦楽団 (Hong Kong Philharmonic Orchestra, 略称: HKPO / HKPhil) の定期演奏会についてご報告する。2023 年 5 月のラフマニノフ・プログラムだが、当「日本人生活情報」は音楽評論専門と言うわけでもないし、速報性は必要ないだろう。メインは、ソリストに上海のチャン・ハオチェンを迎えてのピアノ協奏曲第 3 番。日本での知名度は今ひとつだが、あの辻井伸行と同時にヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した技巧派。前半はラフマニノフの白鳥の歌、「交響的舞曲」と言うなかなか渋いプログラムだった。

 

2012 年に Jaap van Zweden が音楽監督に就任してから、たしかに香港フィルの音は変わり始めた。香港的にアバウトなアンサンブルや、不用意な ff の暴発が当たり前だった 2000 年代までの同オーケストラとは隔世の感が有る。それでなくても本拠地の香港文化中心のホールは、やや小ぶりでオーケストラの音が常に飽和気味なのだが、弦楽器群に規律がもたらされたことで、金管楽器の咆哮がオーケストラを塗りつぶすような場面はかなり減った。

交響的舞曲は、”Time is money” の街、香港に相応しい超快速テンポ。世界各地から集められた木管楽器の名手たちが、細かいパッセージに必死に食らいつく様は、サーカス的な意味で見ものではあった。協奏曲でも一貫して速めのテンポが維持され、ソリストの絢爛たるヴィルトゥオジティがいやが応にも開陳されていく。ロマン派ピアノ協奏曲の極北に位置する「ラフ3」を、最後のオクターヴ下降音形の速さだけで評価してはいけない。それでは作曲家の遺したスコアが、ポルノに堕してしまう。とまれ、トップスピードでコーダに突入した演奏は、聴衆を興奮の渦に巻き込み、会場はブラボーの嵐に包まれた。

体力が有り余っているゲルマン民族のオーケストラと比べ、香港フィルの演奏会は実質演奏時間がかなり短めに設定されている。このあたりも、いかにもコスパ重視の香港らしい。終演後、尖東のバス停までダッシュして A21 のバスに乗れば、香港珠海マカオ大橋経由で、その日のうちに珠海ないしマカオまで戻れるのも、なかなか粋な計らいだ。

なお、珠海市内から香港への移動については、当ウェブサイト内の「珠海から香港へバスで」を参照していただきたい。 https://zhuhai.jp/bushkg.html

香港大学に行ってみよう (学術編)

アジア屈指の象牙の塔に潜入して、濃い顔のインド人見ながら、インド飯食べるだけなら、やってることが重慶マンションと同じじゃないか!と、お嘆きのあなた。今回は、そんな意識高いあなたも納得の、大学内知的スポットをご案内する。

 

まずは地質博物館。香港を訪れた日本人は「こんな野放図に高層ビル建てちゃって、香港って地震無いの?」と言う問いを必ず一度は口にする。その答えを知りたければ、ぜひこちらに!香港に地震は無くはないし、ビルもまあまあ安全なんだよ。と、学術的な解説がされている。他にも、ちょっとした子供くらいの大きさのアンモナイトの化石など、入場無料の割に見所豊富だ。ただし、大学内の施設ゆえ開館時間が平日午後のみなので注意。

 

次は、既述のビジターセンターの隣りにある、これも古くて可愛らしい建築物を利用した香港大学出版社書店。観光客で溢れるビジターセンターと違い、入店するのもちょっと敷居が高い感じだが、いかにも大学の書店と言う懐かしい雰囲気なので、怖気付かずに入店してみて欲しい。香港について興味のある方なら、香港大学出版社の質の高い刊行物の数々は、よいお土産になるはずだ。

 

なお、珠海市内から香港への移動については、当ウェブサイト内の「珠海から香港へバスで」を参照していただきたい。 https://zhuhai.jp/bushkg.html

【The University of Hong Kong】
Pok Fu Lam, Hong Kong, Hong Kong SAR

香港大学に行ってみよう (ビリヤニ編)

香港の最高学府として、世界にその名を馳せる香港大学。じつは、高いのは偏差値だけではなく、ビリヤニ (インド式炒飯) のレベルも相当に高い。今回は、インド人留学生、スリランカ人留学生も大満足する香港大学内のエスニック料理の隠れた名店をご紹介する。

 

香港大学のメイン・キャンパスには、ローカル茶餐廳、サンドイッチ専門店、ベジタリアンレストランなど、意外にも多くの飲食店が存在する。しかし、珠海カレー部員として見逃すわけにいかないのが、メイン・キャンパス東端の Swire Building 内にある Kebab House だ。当店は、ミシュランの星こそ未だ獲得していないものの、ハラル認証はしっかり獲得し、ケバブ、カレー、サモサ、ビリヤニと実に広い守備範囲を誇る。チキン・ティッカ (インド式焼き鳥) のピザなどという、他ではなかなか見られない珍品もあるので要チェックだ。

 

某スリランカ人の圧倒的おすすめは、当店のビリヤニ。SDGs に配慮した当世風の容器に盛られたボリュームたっぷりのビリヤニは、味とコスパで他を圧倒する。ついつい見落としてしまう小さくて無愛想な店だが、どことなくエスニックな学生たちに囲まれて、いつもとちょっと違う香港の味を楽しんでほしい。

なお、珠海市内から香港への移動については、当ウェブサイト内の「珠海から香港へバスで」を参照していただきたい。 https://zhuhai.jp/bushkg.html

【The University of Hong Kong】
Pok Fu Lam, Hong Kong, Hong Kong SAR

香港大学に行ってみよう (観光編)


香港大学 (The University of Hong Kong, 略称 HKU)。孫文の母校でもある香港医科大学を前身とし、1911 年に創立された香港最古の超名門大学。2023 年版の大学世界ランキングでも、東京大学を上回る 21 位と非常に高い評価を得ている (QS World University Rankings 2023)。法学部、経済学部、医学部、建築学部など合計 10 の学部を擁する総合大学だが、とくに歯学部は三年連続 (2016 – 2018 年) で歯学分野の大学ランキング世界 1 位の栄冠に輝くなど、圧倒的な知名度と実力を誇っている。

今回は、そんな歴史ある香港大学に旅行者として堂々と潜入してみよう。香港島西部の山中に位置する香港大学のメインキャンパスは、かつて陸の孤島と揶揄されるほど不便な立地だったが、MTR の延伸に伴いアクセスが劇的に改善された。香港島を東西に走る青色の港島線で堅尼地城 (ケネディ・タウン) 方面に向かい、「香港大学」駅で下車すればそこはもう大学のキャンパス内だ。

高低差が激しく、さして広いとも言えない香港大学のメイン・キャンパス内には所狭しとビルが乱立しているが、まずは歴史的建造物の Main Building を目指そう。1912 年に建造された、香港大学のランドマークとも言える建物だ。バロック調の、しかしどことなくコロニアルで瀟洒な建物は多くの観光客の撮影スポットとなり、時にはウェディング写真を撮影する御一行も。卒業シーズンには、アカデミックガウンに身を包んで記念写真を撮る卒業生たちの姿も見ることができる。

 

床のモザイクが美しい内廊下や、静謐な内庭などは部外者でも見学可能なので、香港の雑踏と隔絶された、ゆったりとした時の流れを楽しんで欲しい。

 

キャンパス内を更に西に向かって進むと、古い建物を改装したビジターセンターがある。ここでは、アパレル、キーホルダー、文房具などありがちな大学オリジナルグッズを購入することができる。HKU のロゴ入りパーカーを着れば、あなたも立派な HKUer (港大生) だ!

なお、珠海市内から香港への移動については、当ウェブサイト内の「珠海から香港へバスで」を参照していただきたい。 https://zhuhai.jp/bushkg.html

【The University of Hong Kong】
Pok Fu Lam, Hong Kong, Hong Kong SAR