もともと四季の移り変わりなんて楽しむべくもない珠海だが、今年は 12 月に入ってもなかなか気温が下がらない。朝晩の気温差はそれなりにあるので、広東の冬の風物詩、季節感のバグった服装のオッサンとオバハンを見かける機会も増えてきた。
そんな中、お隣りのマカオの街ではクリスマスのデコレーションが始まり、若干ながらも西洋のホリデーの匂いを嗅ぎ取ることができる。街中が真紅に染まる春節までの束の間のシーズン、マカオまで足を伸ばしてみてはいかがだろうか?
もともと四季の移り変わりなんて楽しむべくもない珠海だが、今年は 12 月に入ってもなかなか気温が下がらない。朝晩の気温差はそれなりにあるので、広東の冬の風物詩、季節感のバグった服装のオッサンとオバハンを見かける機会も増えてきた。
そんな中、お隣りのマカオの街ではクリスマスのデコレーションが始まり、若干ながらも西洋のホリデーの匂いを嗅ぎ取ることができる。街中が真紅に染まる春節までの束の間のシーズン、マカオまで足を伸ばしてみてはいかがだろうか?
コタイ・ストリップの発展に伴い、かつてのマカオ随一の集客力を失ったホテル・リスボア (澳門葡京酒店) だが、相変わらず食べ物のレベルは高い。カジノ王にして稀代の美食家だったスタンレー・ホーが世界中から掻き集めてきた美味の数々は、今でも立派に生き残っている。リスボア・ケーキ・ショップ (葡京餅店) のパンもその一つ。食パン、クロワッサン、マフィンから菠蘿包まで、パン、パン、サラダ、パンと世界各地のさまざまなパンが揃っているが、どれも原産地の製法にできる限り準じているので、相当に本格的だ。
以前は、ここのチョコレートが見た目も綺麗で美味しかったので、マカオ土産の定番のひとつだった。どうも最近は、チョコレートの販売はしていないのでこれは残念。ホテル地下一階にある樂宮餅店のクッキー “Lucky Cookie” は相変わらず人気のようだが、この字面を見ると、バンコクはヤワラーの外れにあった樂宮ホテルを思い出してしまい、話と意識が飛びそうになる。そう言えばフアランポーン駅も今はその役目をほとんど終えて、周囲は再開発の真っ只中だ。
閑話休題。ここのレーズン・パンも逸品のひとつで、スイス、ベルン地方特産の Zopf (編みパン) を、かなり忠実に再現している。レーズン入りのものなので、正確には Rosinenzopf と言うべきか。ちなみに、日本人にはドイツ語の ~pf の発音は難易度が高いので要注意。往年の名ソプラノ、Elisabeth Schwarzkopf は、カタカナでシュヴァルツコップなどと表記されるが、実際には唾液を 10 メートル飛ばすつもりで「コップフ!」と鋭く発音すべし。
【葡京餅店】
澳門葡京路 2-4 號
葡京酒店地下
営業日時: 月〜日 07:00 – 19:00
マカオから香港空港へのアクセスが容易になると言うことで、マカオのポルトガル料理店を一軒。「ドン・ガロ (公鷄)」は、1987 年に官也街に開業したポルトガル料理の有名店だが、現在はマカオ半島で 2 店舗を経営している。ガイドブックに必ず掲載されているような有名店だし、インターネット上に日本語によるブログ記事も多いので、かえって紹介しにくい。たまにはこんなベタな記事も良いだろう。美味いモノは美味いのだから。
魚介類を中心にしたポルトガル料理は、日本人の舌にも親しみやすいので、ここでは、どんなメニューでも臆さず試してみたい。マカオ料理より若干敷居が高いポルトガル料理店の中では、群を抜いたコスパの高さゆえに、財布の心配はしなくても大丈夫だ。有名なコロッケ、焼き魚、チキンなど敢えて説明の必要もないだろうが、忘れたくないのはマカオならではのミンチー (免治) with ライスと、海鮮の旨みが凝縮されたリゾット。広州ガパオ研究会としては、これだけの為に広東省からマカオに赴く価値があると断言できる。これすなわち、江戸の敵をマカオで討つ。
まるでポルトガル旅行をしているかのような、とまでは言わないが、気の利いたインテリアもうれしい。中国料理の接待用宴会個室に食傷しておられる珠海の重職日本人の面々には、よい気分転換になるだろう。
【公鷄葡國餐廳 (新口岸店)】
倫斯泰特大馬路 32-36 號
帝景苑地下 AF-AG 號舖
営業日時: 月〜日 12:00 – 23:00
その他、新馬路に店舗有り
香港とマカオ、珠海をつなぐ港珠澳大橋では、マカオから香港国際空港に直接バスで乗り入れることができる。とは言うものの、香港空港で下車したのちに、香港に一旦入境してから、チェックイン・カウンターでの搭乗手続きが必要で、今ひとつ使い勝手が悪かった。このたび、香港空港行き直通バスの利用について、マカオ側バスターミナルでのフライト・チェックイン、荷物の預け入れ、香港空港制限区域への出境手続き、などのサービスを近く開始するとのアナウンスがあった。これにより、マカオから香港空港を利用する際に、大幅な利便性の向上と時間短縮が見込まれる。
当面は、午前 7 時半から午後 7 時半までの限られた時間帯での運行になるが、将来的には便数も増やし、24 時間化する意向のようだ。運賃は片道 280 香港ドルで、マカオ側ターミナルと香港空港を約 45 分で繋ぐ。
かつては、行程最終日に出発ギリギリまでマカオ市内で英気を養ってから、マカオのフェリーターミナルで香港発のフライトにチェックインし、そのまま空港への船旅、というルートが一般的だった。しかし、港珠澳大橋の開通により、この香港空港行きの船便は 1 日あたり 1 便程度にまで減便されている。一方、「珠海日本人生活情報」では、港珠澳大橋マカオ側ターミナルで香港空港のチェックイン設備の準備が進んでいるとの極秘情報を得て、遠からずこのような効率化の措置がとられるものと予測を立てていたが、今回、みごとに的中した。写真は、2023 年 7 月に日本人特派員により、マカオ側ターミナルにて撮影されたもの。
珠海の魅力の一つに、アジア有数のハブ空港である香港国際空港に容易にアクセスできる点があげられる。香港珠海マカオ直通バスが、香港空港近くのバスターミナルに発着することから、時間帯や便数の心配をすることなく、香港空港 – 珠海間を往来できるようになったのも大きい。一方、忘れられがちなのが、お膝元のマカオ国際空港。現在、日本行きフライトは、マカオ航空による成田行きが週 4 便、関空行きが週 5 便とまだまだ限定されてはいるが、東南アジア方面へのフライトは充実しており、場合によっては広州空港より便利なケースも。
珠海からマカオ空港へのアクセスは、至って簡単。おなじみの珠海の拱北口岸からマカオに入境したら、目の前のバスターミナルからマカオ空港行きのバス (AP1, AP1X) に乗るだけで、必要なのは運賃の 6 パタカ (MOP) とパスポートのみだ。6 パタカなんて、暴利を貪りすぎだろ!と言う社会派のあなたには、「国境→カジノホテル行き無料バス→空港行き無料バス」と言う裏技があることもお伝えしておく。屋内に運河が走るメガリゾート、ザ・べネチアン・マカオ (The Venetian Macao) や、あのエッフェル塔を擁するパリジャン・マカオ (The Parisian Macao) などでの、無料送迎バス乗り継ぎがオススメだ。
マカオ国際空港は、タイパ島東側の海を埋め立て作られた比較的小ぶりな空港だ。こちらを利用するメリットは、なんと言ってもチェックインから搭乗までの移動距離が短く、体力的に楽なこと。中国国内の空港は、近年肥大化の傾向にあり、空港内の移動だけで疲労困憊することも多い。かつて武漢空港の国際線ターミナルは、田舎の公民館くらいの大きさと渋さでなにかと便利だったが、新ターミナル開港以降は空港内でダッシュする機会がずいぶんと増えた。
フライトまで時間の余裕があれば、マカオ観光も楽しめて、一石二鳥のマカオ空港。一度、ご利用してみてはどうだろうか?
なお、当ウェブサイトでは、広州、香港、マカオを含む、日中間のフライトを「日中フライト時刻表」にて随時更新している。最新の情報を掲載しているので、ぜひ、ご参照いただきたい。 https://zhuhai.jp/flight2.html
マカオを訪れる中国人ツーリスト、その数、年間およそ四千万。日々、化粧品とシャンプーのみを買って帰る、珠海あたりの元気なおばちゃんもそこに含まれるのだろうが、それにしても多すぎる!あれこれの渡航制限も解けた今、宿泊費のインフレは止まるところを知らず、ネットで紹介されるような有名店や観光地のど真ん中では、朝食にありつくのも至難の業だ。十年一昔で、ニ昔ほど前なら、エッグタルトの聖地、カフェ・エ・ナタ (瑪嘉烈蛋撻店) で、体力を使い果たした日本のおじさんたちが気怠い朝を迎えることだって、なんら難しいことではなかったが、今はいつでも長蛇の列。
と言うわけで、ウィン・マカオ・ホテル (Wynn Macau Hotel) のベーカリーショップ「如珠如包 (Buns & Bubbles)」に再度登場していただこう。焼きたてのエッグタルトを、途切れなく提供してくれる名店だが、いわゆる惣菜パン、菓子パン、焼き菓子なども、種類豊富でレベルが高い (値段もまあまあ高い)。珠海のスーパーにある、申し訳程度のパンコーナーとは大違いで、オーセンティックな西洋食に飢える在中邦人の食欲を大いにそそる。朝は歴史ある飲茶の名店で、とか、五つ星ホテルの朝食付きプランで、などと気合いの入っている方でなければ、寝起きはこちらで美食に疲れた胃を癒すのもおすすめだ。
ウィン・マカオでは、館内の人気アトラクション「吉祥樹」を目印にすれば、同店を簡単に見つけることができる。ちなみに、このホテルのショッピング・アーケードはマカオ屈指の高級ブランド店街として有名だ。当然、超高級宝石店のティファニーも威風堂々と居を構えている。現時点では、ティファニー店内でエッグタルトの販売はしていないようだったが、ティファニーから目と鼻の先で手軽にお腹を満たすことはできると言うことで、今回のお題を回収。
【如珠如包 (永利澳門店)】
澳門外港填海區仙德麗街
永利澳門酒店地面層
営業日時: 月〜日 9:00 – 22:00
ウィンパレス・マカオ (Wynn Palace Macau) にも店舗有り
阪神か巨人か。馬場か猪木か。バルサかレアルか。バースかクロマティか。けだし世に諍いの種は尽くまじく、香港式とマカオ式のエッグタルト (蛋撻) も、永遠に答えの出ない問いの一つだ。「差唔多〜」などと不粋なことを言ってはいけない。なかにはエッグタルトのためだけに、珠海から香港、マカオへと渡る猛者もいるのだ。食感重視の日本人としては、パイ生地を使い、こんがりと焦げ目のついたマカオ式に軍配を上げたいところなので、今回は、マカオのエッグタルトをご紹介する。
マカオでエッグタルトと言えば、マカオ半島のリスボア・ホテル裏手に位置するカフェ・エ・ナタ (瑪嘉烈蛋撻店) と、マカオ最南部コロアン島のロード・ストウズ・ベーカリー (澳門安徳魯餅店) の 2 店が有名だ。どの旅行ガイドを読んでも、こちらで本場のエッグタルトを食しましょう、と金科玉条のごとく書いてある。しかし、カフェ・エ・ナタは意外に休みの日が多く、閉店時間も早い。ロード・ストウズ・ベーカリーの本店は歴史的価値はあるのだろうが、なんと言っても遠すぎる。これでは、マカオであれやこれやと多忙な世のお父さん方は、おいそれとエッグタルトを楽しむこともできないじゃ無いか!と言うことになる。そこはご安心あれ。ここはアジアが誇る不夜城マカオ。上記の有名店に勝るとも劣らないクオリティのマカオ式エッグタルトを、夜遅くまで安定供給してくれる店があるのだ。
「如珠如包 (Buns & Bubbles)」は、米国資本の IR, ウィン・マカオ・ホテル (Wynn Macau Hotel) 内のベーカリーショップだが、ここで供されるモノがなかなか侮れない。冷房完備の優雅な環境、待ち行列無し、一つ 13 パタカ (MOP) とホテル内にしては良心的な値段で、本格的なエッグタルトを楽しめるなら、もはやなんの文句もない。
ウィン・マカオには、有名な噴水ショーや、館内の「吉祥樹」などのアトラクションがあり、ショーのちょっとした待ち時間に、同店をサッと利用するのもおすすめだ。
【如珠如包 (永利澳門店)】
澳門外港填海區仙德麗街
永利澳門酒店地面層
営業日時: 月〜日 9:00 – 22:00
ウィンパレス・マカオ (Wynn Palace Macau) にも店舗有り