2023 年 12 月 12 日より、 港珠澳大橋の珠海側ターミナルから直接、香港空港行きの直通バスが開通した。これにより、珠海のバスターミナルで出国したのち、香港に一旦入境することなく、直接香港空港の制限区域に入ることができる。また、以前、レポートしたマカオ側バスターミナル同様、珠海側でのフライト・チェックインも可能になる模様。
このサービスに対応するエアラインなど、詳細は以下の香港国際空港公式 HP よりご確認いただきたい。
2023 年 12 月 12 日より、 港珠澳大橋の珠海側ターミナルから直接、香港空港行きの直通バスが開通した。これにより、珠海のバスターミナルで出国したのち、香港に一旦入境することなく、直接香港空港の制限区域に入ることができる。また、以前、レポートしたマカオ側バスターミナル同様、珠海側でのフライト・チェックインも可能になる模様。
このサービスに対応するエアラインなど、詳細は以下の香港国際空港公式 HP よりご確認いただきたい。
もともと四季の移り変わりなんて楽しむべくもない珠海だが、今年は 12 月に入ってもなかなか気温が下がらない。朝晩の気温差はそれなりにあるので、広東の冬の風物詩、季節感のバグった服装のオッサンとオバハンを見かける機会も増えてきた。
そんな中、お隣りのマカオの街ではクリスマスのデコレーションが始まり、若干ながらも西洋のホリデーの匂いを嗅ぎ取ることができる。街中が真紅に染まる春節までの束の間のシーズン、マカオまで足を伸ばしてみてはいかがだろうか?
広州には、雞仔餅 (がい ぢゃい べん) という不思議な焼き菓子がある。その名に反して、鶏肉は使われておらず、豚肉ビスケットなどと和訳されることも多い。なんでも、小鳳餅とかいうオリジナルの名前から、回り回って雞仔餅と言う通名が広州人の間で定着したようだ。小麦粉の生地に味付けした豚肉を練りこんで、焼き上げたものと思っていただければ、おおかた間違いはない。
この雞仔餅、老婆餅や広東式月餅のような一軍の広州土産と比較して、日本人の間では知名度も人気もいまいち。そもそもけっこう脂っこいので、日本人の味覚にピッタリ合うものでもない。今や観光客の巡礼地と化した蓮香樓で、いかにもお土産然とパッケージされたものを興味本位で買って、おおいに失望した方も多いのではないだろうか。
北京路から海珠広場までわざわざ歩きたがる日本人もそうそう居ないと思うが、その中途に「明華餅店」がある。1983 年開業の老字号だ。広東式の超柔らかいパンならぬ麺包を売っていて、これはこれで昔ながらの製法の絶滅危惧種。とは言え、ここの名物は焼き立ての雞仔餅だ。通りを歩いていると、脂の焦げる匂いが鼻腔をくすぐり、焼きあがった雞仔餅が次から次へと店内から搬出されてくる。おばちゃんの手作業による量り売りなので、これをゲットするためにはちょっとした語学力と厚かましさが必要だ。物欲しげに並んでいるだけでは、自分の順番は回ってこない。無事に入手できたら、とにかく温かいうちに一口。小綺麗に包装された養殖物とはダンチの、粗野な味わいと脂が口中に充満するので、これもまたひとつの広州の味と思って楽しんでほしい。
なお、珠海 – 広州間の移動については、当ウェブサイト内の「珠海から広州へバスで」も参照していただきたい。 https://zhuhai.jp/buskwc.html
【明华饼店】
广州市越秀区起义路 78 号
営業日時: 月〜日 07:00 – 23:00
広州や珠海に限らず、中国国内の書店のエンターテインメント化が進んでいる。店内でコーヒーや軽食を楽しめるだけでなく、ちょっとした出し物やレクチャー、器楽の演奏などを楽しめるようになっている。しかし昭和生まれの日本人にとって、テーマパーク的な本屋は居心地が悪い。望むらくは、書店たるものもっと硬派で、一見さんお断りくらいの心意気であって欲しい。
北京路の北側に、科技書店という古い門構えの書店がある。いつ頃に建てられた建物なのか定かではないが、いわゆる新華書店グループとしては 1949 年にこの地に開業したようだ。名前の通り科学技術系の書物を取り扱う書店で、そのシックな外見に負けず劣らず、店内にもかつての風情が随所に残されている。一階の右半分は文具コーナーで、中国製の万年筆インクの品揃えが、年々寂しくなっていくのを見ると心が痛む。左奥には昔懐かしい音像コーナーがあり、往年の香港ポップスや西洋古典音楽の CD や DVD が売られている。コンテンツの蒐集こそが趣味の王道だったころ、こんな店で裏技的に安価に CD を買い求めては悦に入っていた。
科技書店を訪れたからには、大時代的な階段を上って、2 階も覗いてみてほしい。なんだかカビ臭いような、懐かしいような本棚に、数多の医学書などが並べられている。こうした専門書の群れが醸しだす深閑とした空気は、洋の東西を問わず共通だ。スマートフォンではなく書物が、未知なる知への渇望を癒やしていた時代、書店や図書館にコーヒーの匂いなんて必要なかった。
【科技书店】
广州市越秀区北京路 336 号
営業日時: 月〜日 10:00 – 22:00
食の街、広州の味覚を裏から支えているのが、一徳路の乾物街だ。今でこそ地下鉄の 6 号線が開通し、一徳路駅で降りれば簡単にアクセスできるが、一昔前はたどり着くのも一苦労。海珠広場、長寿路、黄沙などの地下鉄駅に囲まれた空白地帯のど真ん中に有り、よほどの用事がなければ旅行者や駐在日本人が訪れる場所ではなかった。
この一徳路から文化公園にかけての一帯は、広州が急激に変化した 2000 年代に、ちょっと忘れられていたような感じの土地だったので、幸いなことに、騎楼などかなりオリジナルに近い形で残っている。ここに来れば、騎楼が広州人の生活場所の一部として必要不可欠なことが理解できるだろう。広州において「街坊 (がい ふぉん)」は、ただの街角なんかではなく、立派な生活コミュニティだ。
北京路や上下九のペンキで均一に厚化粧された騎楼は、お上りさんを喜ばすテーマパークのようなシロモノにすぎない。
広州随一、いや中国随一の乾物街だけあって、ここでは何でも売っている。と言いたいところだが、どうも食習慣の違いからか、カラスミの入手だけは相当に困難だと聞いた。
なお、珠海 – 広州間の移動については、当ウェブサイト内の「珠海から広州へバスで」も参照していただきたい。 https://zhuhai.jp/buskwc.html
西關の飲食店には、雨風をしのぐ壁や屋根が無いことが多い。そもそもレストランの定義がかなり曖昧というか、ずいぶんと鷹揚なのが下町の魅力だ。そんな壁がない店舗のひとつ、源記腸粉はくだんの龍津路から南下する貴華路で 30 年以上の歴史を刻んできた。このあたりを歩いていて、広東でよく見かける赤いプラスチックの椅子と人だかりをみつけたら、きっとそこが源記腸粉だろう。
広州の腸粉は大きな一枚物の絨毯で、ほかの街のちまちまとした「ライスロール」とは別次元の野性的な美味しさが特徴だ。過激な競争原理によって、異常なレベルにまで洗練された香港の飲茶でも、腸粉についてだけは広州のものに匹敵しえない。「源記腸粉は広州式腸粉のホームラン王です」と、誰かが言ったとか言ってないとか真偽はともかく、この店もインターネットによって随分と有名になってしまった。観光シーズンには、やたらと上機嫌な観光客たちに呪詛の言葉を吐きながら、長蛇の列に並ぶしかない。
広州の腸粉専門店には、アルミのそっけないテーブルがよく似合う。サービスも、もちろんそっけない。自分の注文が聞き取れないと、店員さんに激しく叱責されることも。だいたいが広州には暑すぎる季節しかないので、アウトドアでワイルドな食環境もじわじわと体力を削りにくる。一体、広州人はこんな環境で食事して楽しいのだろうか。。。そして、幾重にも張り巡らされたバリアとトラップを乗り越えた末に、辿りついた一皿が、陶酔のひと時を与えてくれた。
食は広州に在り。ヒトは西關に在り。
【源记肠粉 (华贵路店)】
广州市茘湾区华贵路 93 号
営業日時: 月〜日 8:00 – 19:00
前回に引き続き、広州の下町グルメをご紹介する。「西關」は、もともと広州が城壁に囲まれた都市であった頃、西の城門の外に位置した地域だ。以降、拡大した広州の中心地として繁栄し、対外貿易が盛んになった 19 世紀末からは、西關大屋と呼ばれるユニークな様式の建築が数多く建てられた。現在でも、広東地方独特の騎楼が此処そこに残り、風情ある街並みを楽しむことができる。なにより、広州本来の味覚を堪能しようと思ったら、この西關地域を訪れるに如くはない。
「伍湛記」は 40 年以上の歴史をもつ西關を代表する老字号の一つだ。老広州ならではの状元粥が名物だが、ほかにも、咸煎餅や干炒牛河などはぜひここで食べてみたい。人気の咸煎餅は、時間帯によって売り切れていることもしばしば。一見、単純な揚げ菓子だが、ほのかな甘みがやみつきになる。出来たて熱々、油ぬらぬらの干炒牛河は、文字通り寿命と引き換えの美味しさ。
ソーシャル・ディスタンスへの配慮もバッチグーで、店員のおばちゃんたちは、いつも 10 メートルの距離を保って大声で会話をしている。ここでは、おばちゃんたちのイキのいい広東語も、料理の味を引き立てる恰好の BGM だ。
B 級グルメと切って捨てるにはもったいない、広州伝統の庶民の味。伍湛記は現在、荔湾区の美食ストリートとして名高い龍津路で 2 店舗を経営しているようだ。龍津路にかぎらず、この一帯では、数多の老字号、名店、個人商店が頑張っている。「書を捨てよ、町へ出よう」。インターネットの情報なんかに頼らず、ときには自分の鼻と舌だけを頼りに、あなただけの Stammtisch (常連席) を見つけてみては?
なお、珠海 – 広州間の移動については、当ウェブサイト内の「珠海から広州へバスで」も参照していただきたい。 https://zhuhai.jp/buskwc.html
【伍湛记 (龙津中路店)】
广州市茘湾区龙津中路 344 号
営業日時: 月〜日 7:30 – 23:00
その他、龍津東路に店舗有り
日本も珠海も広州も、酷暑が続いている。こんなときには広東人の魂、普洱茶 (プーアル茶) で涼をとってみるのはどうだろうか。大益茶といえば、普洱茶界のジオン公国と称される大企業で、大益のアンティークな普洱茶餅など、好事家の間でポケモンカード以上の値段で取引されている。数十年前の茶餅などはとても手を出せない値段だが、中産階級の日本人は大益の直営店で、世にも珍しい普洱茶のアイスクリームを楽しんでみよう。
場所は広州の下町随一のインスタ映えスポット、永慶坊。上下九というちょっと変わった名前の繁華街から、荔湾湖公園に至る一帯が、近年大規模に再開発された。永慶坊は、この再開発の目玉とも言うべき場所だ。これにより、昔ながらの古色蒼然とした静謐な「西關」の雰囲気は失われてしまったが、一定の経済効果は有るのだろう。休日など、以前と比較にならない人出の多さだ。ちなみに、ブルース・リーが幼少期に住んでいた家もここにある。
「大益茶庭」は、大益が総力を結集して作ったトレンディでオシャンティな普洱茶カフェだ。(たぶん) ここでしか食べられない普洱茶のアイスクリームは、蒸し暑い広州の街歩きに疲弊した身体を、ひんやりと癒してくれる。他にも、賞味期限が異常に短いフレッシュな普洱茶ソーダなどもあり、こちらも暑い日にはオススメ。近未来的な内装の店内では、普洱茶葉以外に、大益所有のプロ・バスケットボール・チームのグッズも販売されている。どうやらこのチーム、毎年のように中国国内リーグを制覇しているようで、まさにジオンの名に恥じない戦績だ。
なお、珠海 – 広州間の移動については、当ウェブサイト内の「珠海から広州へバスで」も参照していただきたい。 https://zhuhai.jp/buskwc.html
【大益茶庭 (永庆坊店)】
广州市茘湾区恩宁路永庆大街21号
営業日時: 月〜日 11:00 – 21:00
武漢から広東省へ出張中の日本人に朗報。ご周知のことと思うが、あの LAWSON が広東各地で続々と新店舗を展開している。武漢でコンビニと言えば、LAWSON (中百罗森) と Today (今天) だろう。近年はセブン-イレブンの躍進も目覚ましいが、すでにして LAWSON に飼い慣らされた武漢系日本人は、こと広東において深刻な LAWSON ロスに苛まされてきた。そんな中、武漢でお馴染みの「中百」LAWSON でこそないが、とにかく LAWSON が猛烈な勢いで店舗数を拡大しているのはありがたい。
写真はつい最近、広州市内の越秀公園前に開店したもの。佛山市内でも、すでに 2 店舗がオープンしたと聞く。
そして国境の街、珠海でも LAWSON プロジェクトが始動している。富華里や新都心をふくめ複数店舗の開業が予定されているようだ。今回、取材に訪れたのは、前山地区で最も集客力のあるショッピングモール、珠海環宇城の一階。環宇城の 6 号門と言っても分かりにくいが、ショッピングモールとルネッサンス・ホテル (珠海中海万麗酒店) を繋ぐ、前山河に面した大がかりな車寄せの脇で、内装工事を行っていた。
第二の故郷、武漢を遠く離れて、どうしても珠海に宿泊しなければならない場合。ルネッサンス珠海を選べば、徒歩圏内にいつもの青いコンビニが有るので、ちょっとだけ安心だ。
広東人はタイ料理好きだと思う。「食在広州 (食は広州に在り)」。たしかに広東料理は、数ある中国料理のなかでも、群を抜いて繊細で美味しい。決して上品とは言えない広東語の響きに囲まれて育って、どうしてこれほどまでに繊細な味付けができるのか謎ですらある。とは言え、広東料理なんて、一人で気軽に食べられるものでもないし、毎日食べるようなものでもない。そこで登場するのが、タイやベトナムと言ったエスニック料理だ。広東料理とも歴史や文化の根っこでなにかしら繋がっているだろうし、何よりお手軽で少人数でも楽しめる。珠海や広州、香港の繁華街で、タイ料理の人気店はいつでも長蛇の列だ。
それほどまでに愛されている広東のタイ料理だが、残念ながら欠点も有る。刺激物に慣れていない広東人の味覚に合わせてあるので、とにかく甘いのだ。辛味と酸味のハーモニーを期待するトムヤムクン (ต้มยำกุ้ง) など、これじゃココナッツミルク・スープだろ!と怒りを覚えるほどに甘い。
そして、最近日本で人気赤丸急上昇中のガパオ (กะเพรา) 。挽肉炒めご飯などと勘違いされがちなガパオだが、本来の意味はバジル炒めご飯。実はガパオの生命は、挽肉ではなくホーリーバジルにある。しかし広州ガパオ研究会が総力を結集して、広州各地でフィールドワークを敢行したところ、ホーリーバジルを使った本場モノの発見には至らなかった。まあ仕方ない、ここはバンコクではないのだから。せめてスウィートバジルを使っていれば合格としたいのだが、セロリやら謎の野菜やらを投入して、オリジナリティを発揮したものがやけに多い。店名はあえて伏せるが、写真は広州で遭遇した正体不明の一皿。ここまで来ると、もはや原型を留めていない。
なお、珠海 – 広州間の移動については、当ウェブサイト内の「珠海から広州へバスで」も参照していただきたい。 https://zhuhai.jp/buskwc.html