台風一過

 

珠海が都市機能を取り戻しつつある。数十年に一度とも言われた超大型台風 9 号の直撃から一夜明け、珠海市内に少しずつ普段の生活が戻ってきた。バスはすでに運行を開始し、一部のスーパーや商店、飲食店なども営業を再開している。

 

広東省や香港を台風が襲うと、必ず見られる風物詩が、倒木。毎度毎度、日本人には信じられないほど気軽に、街路樹が倒れ込んでくるので気をつけていただきたい。今回も、市内のいたるところで倒木を確認することができた。鉄パイプなどで補強済みの木でも、軽く薙ぎ倒されているのが、台風 9 号の苛烈さを物語る。

 

一部の住宅地では、倒木による被害を防ぐため、事前に余分な枝の剪定が行われていたようだ。

 

前山河はかなり水位が上がり、まだ風も強いので、日本的な基準では十分に危険な状況なのだが、気の早い珠海の釣り人たちは、すでに出勤している。一体、何が彼らを駆り立てているのだろうか。。。

 

橋の解体工事

 

珠海の大動脈、九洲大道と珠海大道を繋ぐ前山大橋の側道の橋が解体されている。これだけでは一体どこの話だ?と珠海在住の日本人の皆さまからご叱責を賜りそうだが、都心部から珠海空港へ行くときに、必ず通る幹線道路が珠海大道だと言えば分かりやすいかもしれない。前山大橋は、都心側の九洲大道に入る交差点ではげしく渋滞するので、側道的な役割を果たす「簡易橋」を経由すると渋滞を回避でき、何かと使い勝手がよかった。簡単な橋脚の上に鉄板を載せた程度のシンプルな作りだが、水面との距離も近く、ちょっとだけ生活に潤いを与えてくれる存在だった。

 

とくに前山河には、随所にこのような橋がかかっていて、市民生活の一部となっている。橋の上で、日がな一日、魚釣りと言うか、かなり本格的な漁をしているおっさんは、まぎれもなく珠海の風物詩だ。とは言うものの、前山河で採れた魚はあまり食用には適さないとも聞いた。それでも時間のあり余ってそうなおっさんたちの、社交場としての役割は果たしているのだろう。言葉は聞き取れないが、釣れた魚を前に侃侃諤諤の大騒ぎをしているのを見ていると、こちらまでなんとなく楽しくなる。

 

鉄板剥き出しのツルツルの歩道の上を、出前のバイクが猛スピードで駆け抜けたりするので、この橋の上では事故が絶えなかったと聞く。解体の理由は、市民団体からのクレームなのか、単にその役目を全うしただけなのか、寡聞にして存じ上げないが、コンクリートジャングルの陽気な漁師たちに会えなくなるかと思うと、ちょっと残念だ。このようにして、珠海も少しずつ「都市化」されていくのだろうか。。。