広州のガパオライス

広東人はタイ料理好きだと思う。「食在広州 (食は広州に在り)」。たしかに広東料理は、数ある中国料理のなかでも、群を抜いて繊細で美味しい。決して上品とは言えない広東語の響きに囲まれて育って、どうしてこれほどまでに繊細な味付けができるのか謎ですらある。とは言え、広東料理なんて、一人で気軽に食べられるものでもないし、毎日食べるようなものでもない。そこで登場するのが、タイやベトナムと言ったエスニック料理だ。広東料理とも歴史や文化の根っこでなにかしら繋がっているだろうし、何よりお手軽で少人数でも楽しめる。珠海や広州、香港の繁華街で、タイ料理の人気店はいつでも長蛇の列だ。

 

それほどまでに愛されている広東のタイ料理だが、残念ながら欠点も有る。刺激物に慣れていない広東人の味覚に合わせてあるので、とにかく甘いのだ。辛味と酸味のハーモニーを期待するトムヤムクン (ต้มยำกุ้ง) など、これじゃココナッツミルク・スープだろ!と怒りを覚えるほどに甘い。

 

そして、最近日本で人気赤丸急上昇中のガパオ (กะเพรา) 。挽肉炒めご飯などと勘違いされがちなガパオだが、本来の意味はバジル炒めご飯。実はガパオの生命は、挽肉ではなくホーリーバジルにある。しかし広州ガパオ研究会が総力を結集して、広州各地でフィールドワークを敢行したところ、ホーリーバジルを使った本場モノの発見には至らなかった。まあ仕方ない、ここはバンコクではないのだから。せめてスウィートバジルを使っていれば合格としたいのだが、セロリやら謎の野菜やらを投入して、オリジナリティを発揮したものがやけに多い。店名はあえて伏せるが、写真は広州で遭遇した正体不明の一皿。ここまで来ると、もはや原型を留めていない。

なお、珠海 – 広州間の移動については、当ウェブサイト内の「珠海から広州へバスで」も参照していただきたい。  https://zhuhai.jp/buskwc.html

広州で本場の熱乾麺!

「武漢人のスガキヤ」こと「蔡林記」の熱乾麺 (热干面) が広州でも食べられる。武漢から広東省にご栄転されたものの、熱乾麺ロスに苦しんでおられる日本人は意外に多い。なにしろ、朝食は必ず熱乾麺と決めている日本人総経理だって、武漢には居るのだ。という訳で、困った時には、広州に行って蔡林記を探してみよう。

 

蔡林記は高級レストランではなく、四季美などと共に武漢を代表する小吃店だ。1928 年、漢口で創業と歴史は古く、フランチャイズ化した現在では、空港やターミナル駅を含む武漢のおよそあらゆる場所で見かけることができる。こと武漢市内においては、熱乾麺の味は安定して美味しいので、なにも蔡林記にこだわる必要もないのだが、これが広東省となると事情が違ってくる。広州、深圳、珠海で、気をつけて街を歩いていれば熱乾麺を売りにした店を発見することは難しくない。しかし、味はたいがい期待外れだ。そもそも四川名物や重慶名物と一緒くたに熱乾麺を売っている店で、ナウでグルメな武漢系日本人の舌を満足させることなんてできる訳がない。

 

そんなことで時間とエネルギーを無駄にするのなら、最初から蔡林記に行ってしまえば、全て解決だ。値段は武漢より高いし、あの紙のお椀も使われていないが、とにかく本場の味が楽しめる。さらに、三鮮豆皮や蓮根スープなど、メニューを見ているだけで、グッと込み上げてくるものがある。珠江デルタの煩雑な生活に疲れ、ふるさとの訛りと味が懐かしくなった時に、ぜひ訪れてみてほしい。  

 

なお、珠海 – 広州間の移動については、当ウェブサイト内の「珠海から広州へバスで」も参照していただきたい。  https://zhuhai.jp/buskwc.html

【蔡林记 (中信店)】
广州市天河区天河北路233号中信广场2楼
営業日時: 月〜日 8:00 – 21:00

その他、広州市内に店舗有り