珠海のピノキオ

 

もちろん珠海にも、有名なポルトガル料理店が存在する。もはや老字号と呼んでよいほどの歴史を持つ、九洲港近くの「ピノキオ (澳門木偶葡國餐廳)」だ。なんでもマカオに「ダンボ」と名乗るポルトガル料理の老舗があり、そこからゴニョゴニョと大人の事情で分家し、珠海に進出してかれこれ 20 年以上が経過したと言う。やむにやまれぬ経緯があったのだろうが、料理の方はしっかりと直系で引き継いでおり、いつしか珠海のポルトガル料理を代表する存在となった。

 

石花東路のピノキオがある一画には、他にも (珠海にしては) 悠久の歴史を誇る日本料理店やインド料理店が有り、夕食時など駐車スペースを確保するのも一苦労だ。店内は、風格のあるゆったりとした空間で、ポルトガル風の内装で落ち着いて食事を楽しめる。2 階には個室やパーティールームのようなシックな広間も有り、天気が良ければテラスに出ることもできる。かつては九洲港を望む絶好のロケーションだったのだが、残念ながら今は港の工事現場ビューだ。

 

ところで、こちらのメニューの表紙、宗家のダンボ同様、われわれ日本人にもとても親しみのあるキャラクターが使われてる。どうも著作権関係については、比較的無関心な一族が経営しているようだが、なにしろ喧嘩を売る相手が大御所なのでこちらの方がビビってしまう。

 

鰯の塩焼き、鱈のコロッケ、ムール貝、ポルトガル・チキンなど、一通り以上のポルトガル料理が揃っていて、ちょっと珍しい西洋風炒飯も美味しかった。なにかと一皿が大きいので、少人数の会食には向かないのが難点だが、珠海で中国料理や茶餐廳に疲れたときなどに重宝する。

 

【澳门木偶葡国餐厅 (珠海店)】
珠海市香洲区石花东路 30-32 号
営業日時: 月〜日 10:30 – 22:00

ドン・ガロのミンチーとリゾット

マカオから香港空港へのアクセスが容易になると言うことで、マカオのポルトガル料理店を一軒。「ドン・ガロ (公鷄)」は、1987 年に官也街に開業したポルトガル料理の有名店だが、現在はマカオ半島で 2 店舗を経営している。ガイドブックに必ず掲載されているような有名店だし、インターネット上に日本語によるブログ記事も多いので、かえって紹介しにくい。たまにはこんなベタな記事も良いだろう。美味いモノは美味いのだから。

  

魚介類を中心にしたポルトガル料理は、日本人の舌にも親しみやすいので、ここでは、どんなメニューでも臆さず試してみたい。マカオ料理より若干敷居が高いポルトガル料理店の中では、群を抜いたコスパの高さゆえに、財布の心配はしなくても大丈夫だ。有名なコロッケ、焼き魚、チキンなど敢えて説明の必要もないだろうが、忘れたくないのはマカオならではのミンチー (免治) with ライスと、海鮮の旨みが凝縮されたリゾット。広州ガパオ研究会としては、これだけの為に広東省からマカオに赴く価値があると断言できる。これすなわち、江戸の敵をマカオで討つ。

 

まるでポルトガル旅行をしているかのような、とまでは言わないが、気の利いたインテリアもうれしい。中国料理の接待用宴会個室に食傷しておられる珠海の重職日本人の面々には、よい気分転換になるだろう。

 

【公鷄葡國餐廳 (新口岸店)】
倫斯泰特大馬路 32-36 號
帝景苑地下 AF-AG 號舖
営業日時: 月〜日 12:00 – 23:00

その他、新馬路に店舗有り